Giorgi Pipiaさんージョージアと日本が、ビジネス・学術・文化において共に成長できる関係を築きたいー 

 【プロフィール】
クタイシ国際大学キャンパス(KUCA)イノベーション・起業家育成部長。日本での9年間の滞在・就業経験を持ち、法政大学にて博士課程で勉強し、モスクワ東洋学研究所にて日本の地方自治に関する博士号を取得。日本企業、国際プロジェクトマネジメントなど30年以上の国際ビジネス・学術キャリアを有する。ジョージア語、日本語、英語、ロシア語に堪能。

 1.今までどのようなキャリアを歩まれたか、簡単に紹介いただけませんか?
私のキャリアは日本との深い関わりから始まりました。1982‐1988年にモスクワ国立大学アジア・アフリカ諸国研究所で日本史と日本語を専攻し、そのうちに1986年10月から1987年7月まで、そして1991年3月から1998年12月まで日本に滞在しました。東海大学留学生教育センターで日本語を学び、法政大学で博士課程のセミナーにかよってまして、東京やその他の地域で講師、通訳、翻訳者、ビジネスコンサルタントとして活動しました。

帰国後は、日本で自治体制度の研究結果を活かしてジョージアのアジャラ自治共和国政府の国際情報分析部門長を務め(1999-2004年)、その後日本による技術支援や無償資金援助関係プロジェクトマネージャー兼ローカルコーディネーターとしてODAプロジェクトを担当しました(2004-2009年)。その後、大阪に拠点を置く日本アジア情報センターにてコンサルタント・プロジェクトマネージャーとして、モンゴル、ウクライナ、ロシアなどでの国際プロジェクトに携わりました(2009-2015年)。

近年は、Tokyo Rope Internationalのジョージア現地プロジェクトコーディネーター、ジョージア生産者連盟のエグゼクティブディレクターを経て、現在はクタイシ国際大学(KIU)にてイノベーション・起業開発部長として、大学のイノベーションエコシステム構築と国際協力、特に日本との学術・産業連携を推進しています。


 2. 日本語を学習するきっかけはなんですか?また東海大学で留学をされていましたが、その時の日本での留学生活はどうでしたか?
日本語学習のきっかけは、ジョージアの高等学校時代に日本の映画を見たり、日本の文学作品(芥川龍之介、大江健三郎、川端康成等など)のロシア語訳版を読んだり、あの当時に人気が出た空手サークルに通って、日本語を覚えたい意志が段々強くなって、モスクワ国立大学での日本語専攻を選択したことでした。それにあの当時のソ連では、日本は経済大国として注目されており、日本の歴史、文化、そして急速な経済発展に強い関心を持ちました。日本語という言語の美しさと複雑さにも魅力を感じ、日本研究の道に進むことを決意しました。

東海大学留学生教育センターでの留学生活は、私の人生において最も実りある時期の一つでした。1986年から1987年のほぼ1年間、集中的な日本語プログラムで学びました。話す・書く・聞く・読むという総合的な日本語能力だけでなく、漢字、日本文学、経済、政治、文化まで幅広く学ぶことができました。日本人学生や他の留学生との交流を通じて、教科書では学べない生きた日本語と日本文化を体験できました。

その後、1991年に再び日本に戻り、法政大学で博士課程研究を行いながら、東京を中心に講師や通訳・翻訳の仕事をしました。1998年まで日本に滞在し、このほぼ8年間で日本社会を深く理解し、日本のビジネス文化や学術環境に完全に溶け込むことができました。この経験が、その後の国際ビジネスや学術協力における私の強みとなっていると周りの友達から言われてます。



3. 日本とジョージアの経済関係がより強くなるには、両国間でどのようなことが必要でしょうか?また、両国の間で、ビジネス習慣などの違いを感じたことはありますか?
日本とジョージアの経済関係をより強化するためには、三つの重要な要素があると考えます。

第一に、「相互理解と信頼関係の構築」です。日本企業は品質、信頼性、長期的な関係を重視します。一方、ジョージアはまだ日本にとって十分に知られていない市場です。両国間での人的交流、特に若い世代の留学や研修プログラムを増やし、相互理解を深めることが不可欠だと思います。

第二に、「具体的な協力プロジェクトの推進」です。ジョージアは欧州とアジアを結ぶ戦略的な位置にあり、自由経済区域や税制優遇措置など投資環境も整っています。インフラ、エネルギー、IT、農業製品加工などの分野で、日本の技術と投資、ジョージアの地理的優位性と成長市場を組み合わせた具体的なプロジェクトを実現することが重要です。

第三に、「学術・イノベーション分野での連携」です。大学間協力、共同研究、技術移転、スタートアップ支援などを通じて、次世代の協力基盤を築くことができます。

ビジネス習慣の違いについては、確かにいくつかの点で差異を感じました。日本のビジネス文化は、入念な準備、詳細な計画、コンセンサス重視、長期的な視点が特徴です。一方、ジョージアを含む旧ソ連地域では、より柔軟でスピーディーな意思決定、個人的な関係性の重視という面があります。しかし、私の経験から言えば、これらの違いは障害ではなく、むしろお互いから学び、より良いビジネス実践を生み出す機会だと考えています。重要なのは、お互いの文化を尊重し、誠実にコミュニケーションを取ることです。


4. 現在、クタイシ国際大学にてHead of Innovations and Entrepreneurship Developmentとして勤められているとのことですが、どのような活動をなされていますか?
現在の役割は、クタイシ国際大学(KIU)とそのキャンパス運営局(KUCA)において、イノベーションと起業のエコシステムを構築し、大学を地域のイノベーションハブとして発展させることです。

具体的な活動としては、まず「インキュベーション・アクセラレーションプログラムの開発」です。学生、教員、地域の起業家を支援するためのプログラムを設計し、スタートアップの育成環境を整えています。コワーキングスペース、メンタリング、ビジネス開発支援などを提供するための制度を築いている段階です。

次に、「産学連携の推進」です。地域企業、国際企業、ベンチャーファンドとの連携を通じて、大学の研究成果を実用化し、学生に実践的な経験を提供する機会を創出しています。

そして最も重要なのが、「国際協力とパートナーシップ構築」です。特に日本の大学、研究機関、企業との連携に力を入れています。現在、3つの日本の大学 ‐私の母校の東海大学や千葉工業大学、早稲田大学などとのネットワークを活用し、学術交流、共同研究、技術移転、学生・教員の相互派遣などを推進しています。

また、ジョージアにおける「テクノ自由経済特区(TFEZ)」プロジェクトコンセプト制作にも関与しており、これは国際的なレベルの「スマートシルクロード」ハブを構築するという野心的な取り組みです。このプロジェクトは、ジョージアを欧州とアジアを結ぶ技術・イノベーションの架け橋として位置づけるものです。


5. 最後にジョージアに関心を持つ日本の企業に伝えたいことはありますか?
日本の企業の皆様にお伝えしたいことは、ジョージアは単なる新興市場ではなく、「欧州とアジアを結ぶ戦略的なゲートウェイ」だということです。

ジョージアには多くの魅力があります。まず、「地理的優位性」です。黒海に面し、欧州、中央アジア、中東へのアクセスが良好で、国際トリンジト・ルート構想においても重要な位置を占めています。

次に、「ビジネス環境の良さ」です。世界銀行の「Doing Business」ランキングで常に上位にランクされ、自由経済区域では法人税免除などの優遇措置があります。また、EUとの自由貿易協定(DCFTA)により、EU市場へのアクセスも容易です。

さらに、「高度な人材」です。ジョージアの若い世代は教育水準が高く、IT、エンジニアリング、言語能力に優れています。人件費は西欧に比べて低く、質の高い労働力を確保できます。

そして何より、「親日的な文化」です。ジョージア人は日本の文化、技術、ビジネスの誠実さを高く評価しており、日本企業との協力を歓迎しています。

私自身、30年以上にわたり日本とジョージアの架け橋として活動してきました。両国の言語、文化、ビジネス慣習を深く理解しており、日本企業がジョージアで成功するためのサポートをする準備ができています。KIUを含めてジョージアの技術プログラムを教えている大学一同は、学術協力、人材育成、イノベーション連携のプラットフォームとして、日本企業の皆様との協力を心からお待ちしております。

ジョージアは、日本の皆様にとって、新たなビジネスチャンス、研究協力、そして文化交流の可能性に満ちた国です。ぜひ、この機会にジョージアに目を向けていただき、共に成長できる関係を築いていきたいと思います。

 連絡先(お仕事の依頼などに関するGiorgi Pipiaさんの連絡先/LinkedInはこちら)
LinkedIN