ルスダン・チョチアさん ー目標と専門性を持った日本語人材としてのキャリアの歩み方ー

【プロフィール】

ジョージア出身。主にチェコ・ロシア・日本など海外滞在。チェコにあるパラツキー大学オロモウツにて日本語・英語専攻。その後、岡山県の吉備国際大学大学院修士課程修了。ジョージアに帰国後、主に国際企業にて勤務。

―― 日本語を勉強し始めたきっかけを教えてください

ルスダンさん:日本語を学びたいと思うようになったきっかけは、実は私のチェコ語の先生でした。高校の最後の年、チェコにいたのですが、その際、大学で何を学ぼうかまだ具体的な考えがありませんでした。当時、チェコ語をチェコ人の先生から学んでいました。その時、「ルスダンは言語を早く学べる人だから、日本語を大学で勉強するのはどうですか?最近、日本語学習が流行っているんですよ」と言われました。さらにそのチェコ語の先生の友人の方が、チェコ人の日本語の先生でした。彼女は日本語を教えるだけでなく日本企業でも仕事をされていたのです。その方がとてもかっこよく、彼女への憧れから、私もチェコの大学で日本語専攻をすることを決めました。

――日本へ留学をされましたが、どのようなきっかけで留学をされましたか?また日本での留学生活はどのようなものでしたか?

ルスダンさん:チェコの大学で4年間日本語を学んだのですが、さらに日本語を上達させたいと思い、日本への留学を考えました。知人を通して、岡山県にある日本語学校の存在を知り、そこで日本語を1年間学びました。1年でJLPTのN1に合格できるほどになりました。さらに学びたいと思い、日本の大学院への留学を決めました。日本人と同じく日本語で入学試験を受けて合格し、岡山県にある吉備国際大学の修士課程(社会学)にて2年間さらに研究しました。修士論文も出しました。

大学は岡山県にあったので外国人がもともと少ない環境でした。また、大学院での研究も、ゼミの先生や他の研究生らとも日本語のみでコミュニケーションをしていましたので、日本語能力が上達し、日本文化を知る上でとても有意義な時間を送ることができました。日本への留学に関して、東京や大阪など大きな街ではなく、他の外国人が少なくて、日本語がいつも使える、または、日本語しか使えないような環境で留学をすることはとても大切だと思います。

また、その国の文化や人の考え方は、相手の言語を通してでしか分からないものだと思います。そういう意味でその国でその国の言語をしっかりと学ぶことは大切なことだと思います。

―― 日本語を使った仕事をいくつも経験されてきました。日本とジョージアの間でのビジネスにおいて、似ている点と異なる点は何があるでしょうか?

ルスダンさん:日本での留学の後、ロシアにてトヨタ関連の仕事に就きました。その後、ジョージアに来て、ジョージア企業にて半年仕事をしました。そして、ジョージアのJapan Tabacco International (JTI)にて3年、その後JICAでの勤務の後、現在仕事をしているトヨタコーカサスに入ることになりました。

私はジョージアに戻ってきてから主に日本の組織で仕事をしてきました。また、会社の文化もそれぞれ異なりますから一概に似ている点や異なる点を話すことはできません。一方で、ジョージアの方が、比較的、時間に対して日本ほど厳しくなかったり、何かに対してそこまで詳細を詰めないことはあるように感じます。これがジョージアの方法であり、日本も含めてそれぞれの国でビジネスの方法は異なります。何が正しくて何が間違いであるということは一概に言えませんが、私は、日本人の方々との仕事を通して、仕事の進め方、仕事に関する考え方など様々なことを学ぶことができました。

――両国の間でビジネス関係がより増えていくにはどのようなものが必要でしょうか?

ルスダンさん:ジョージアにおいて、日本企業のプレゼンスがより増えることが大切だと思います。

ロシアで日本語を使った仕事をしていた時は、求人が多くありました。それはロシアにおける日系企業や工場の数、ロシアに住む日本人の数も多かったからです。求人の多さが、日本語学習者が実際に仕事をして経験を得る貴重な場が増えることにも繋がります。

観光としてジョージアに来ることと、ビジネスを行うためにジョージアに来ることは異なります。ビジネスの計画をする際にジョージアにおけるニーズやジョージア人の好みを知ることは重要です。ジョージアと日本の距離は遠く、文化や言語も異なります。まずは日本とジョージアの特徴をしっかりと理解することが大切だと思います。

――日本語を勉強していて、将来、日本への留学や日本語を使った仕事をしたいと考えているジョージア人の方々へ何かメッセージやアドバイスなどはありますか?

ルスダンさん:日本語を学習する際に、「何のために日本語を学びたいか、どのレベルまで到達したいか」など具体的な目標を持つことが大切です。日本語学習に興味を持つきっかけが、アニメや漫画、歴史や文化への関心であることは良いと思います。その上で、日本語を勉強して将来どんなことをしたいかゴールを持つことが重要です。

ジョージアにおいて日本語関係の仕事は、今のところ、残念ながら多くありません。仕事を探す際、日本語のスキルはプラススキルであり、マストスキルでないことが大半のケースです。そのため、何らかの専門スキルを持っていることも大切です。その上で日本語を話せるという能力はプラスの効果をもたらすと思います。

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